梅雨の合間の晴れの日、もちの木を製材しました。
傷みのひどかった根元の部分8〜10尺は諦めたものの、その上8尺(2,4m)と5尺(1,5m)を板に挽いてみようと地元の製材所山中商店さんに依頼、JINO(淡路島の木を中心に集まる)のメンバーも立ち会い普段見る機会の無いもちの木の大木の板に現れる木目を確認しました。薪用に集める小径木とは違いその板はなかなか個性的な表情、ただ根元の傷みは思いの外上まで上がっていて惜しい・・。
生真面目に考えると使えるのは製材した材積の半分、今後の割れの入りを考えると3割程度とも言えます。しかしそこはいろんな角度から木を見る、使う目的で集まるJINOメンバーのアイデアにも期待し、また今ではラスティックという言葉も木材を扱う中で使われたり、スポルテッドが一般に知られたりと、「難」も見立て次第で好む人が多いと感じます。頭を柔軟にし使える部分の割合を増やしたいものです。そして出会った木を使い尽くす事が出来ればと、今日は皆で雨降る屋根の下一枚一枚丁寧に割れ止めを塗って桟積みまでを終えました。 (腰に悪い重さ・・)
※ 写真を見た方から桟の数が足りないと指摘をいただきました、確かにこのままでは途中に挟まれた板も反って暴れたい放題。労力を惜しまず桟を作ってもう一度積み直しを後日・・。
昨日は梅雨入り前の好日、老木の伐採に立ち会いました。
「大きな木を伐るので引き取って何かに使って頂けますか。」と連絡をして頂いたNさん宅の
もちの木、少なくとも120〜130年前、Nさんからすると何代も前の方が家の守り木として庭に植えた木です。しかし根元の傷みが進み倒木の危険性があるのでやむなく今年伐ろうとなったとの事です。当日の朝、丁寧な神事を執り行う事からも代々ここで大切にされていた木である事がうかがえます。
戌亥のもち、家の北西にもちの木を植えると縁起が良いとも言われています。正にそこにあったこの木は長年静かにNさんの家族を見守ってきたのでしょう。
伐採が進み根元の切り株を見ると、樹木として生きている部分は外周部のほんのわずかな一部分のみとなっていました。今にも倒れる寸前だったと言えるこの樹は伐り時をNさんに知らせ、寿命を全うした様に感じます。
末部分も剪定の影響を受け傷みがある事から、この一本の樹の中間部分を二つに分けて譲り受けることになりました。来週以降、梅雨の合間を見て製材をしてみます。当初もちの木と聞いて正直なところ材料としては魅力を感じるものではありませんでした。しかし伐採にも立会い、一連のストーリーを感じれば少なからず感情移入もし思いも変わります。
樹から木、材木にするなら有効に使える部分を多く残せるように大切に扱わせて頂こうと思っています。そして形あるものとして長く残るものが作れたなら、そう思い次は私達がが大切にしまた使い手に繋ぎます。
ステイホームは得意ではありますが、あまり長く日本中が(世界中も)このままではいけません。人と出会って、自然と戯れて遊び健康というものです。ただし今は皆で決めたルールを守って外へ出かける機会を減らしそれぞれ各自が出来ることを精一杯進める他ありません。
私の住む地域は毎年この連休の初めに神社の春祭りがあり、だんじりの組み立て準備、祭当日、解体して慰労会、三日間は町内の人と一年で一番交流のある時期なのですが、今年は何とも静か、淡路島全体も静か、うちの店も少なくとも連休明けまで閉めています。
連休中はステイ工房には最適な制作に恵まれたので仕事をします。大きな栗の木をベースにテーブルを制作。
「大きな木を力強く深く削る、細い木を繊細に優しく削る、どちらも木工制作の醍醐味だと感じます。」
これは自己紹介に使う文章ですが、今回は前者の作業をまた明日から集中して進めて行きます。
完成しましたらカラー写真で。
聴き逃すとradiko.jpのタイムフリーでは聴けなくなっていたもう一つの好きな番組
WEEKEND SUNSHINE ピーター・バラカン/ NHK-FM
はラジオのアプリ
らじる・らじるで一週間は配信されているのか、と今日気がついた。’99年から長く続いているだけに安定感は抜群で心地好い。「聴き逃し」機能で聴いてみたついでに他の番組も探ってみたらNHKならではの落ち着いた番組がいろいろ、
高橋源一郎の飛ぶ教室は今日聴くのに興味深い話だった、いとうせいこうがゲストで離れた場所からSkypeを使って放送を作っていたり、他のどの番組もまた災禍の時のラジオは阪神淡路・・・以来とても頼もしいと感じている。文字を読む記事を探すのもいいが、今いろんな人の話をしゃべっている言葉で聞いて確認するにはラジオはいいと思う。ながらメディアである事もまた。
自分が考える為のヒントがたくさん言葉や音楽でさり気なく放たれている。
どう使うか思案中の栗の丸太
工房にこもる日々はもっぱらラジオな毎日。木工機械を回す作業では耳栓代りにイヤホンを耳に差込み聞いていたりする。何かのジャンルの音楽に詳しい訳ではないので、かかる曲を聞き流しているのだけど好きな番組は幾つかある。今のベスト3はこれ。
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NIGHT AND DAY 南佳孝 / FM COCOLO
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RADIO SHANGRI-RA 立川直樹 森永博志 / FM COCOLO
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サンデー・ソングブック 山下達郎 / FM 大阪
(※
radiko.jpのタイムフリーでいつでも聴けます)
どのDJも肩の力が抜けていて50代の若造からすると、憧れの先輩の話に耳を傾けている感じで聴けるのがいい。そして皆、話している場所の背景が見えるような気がする。南佳孝さんは住んでいる湘南の海辺の知合いの店で、立川さんと森永さんは時々過激な発言もするけど昔ながらの照明の暗い喫茶店で詳細な資料を机に用意して、そして達郎さんは膨大なレコードが並ぶ壁面の棚を後ろに。そう感じるだけでもちろん皆FM局のスタジオ収録なのだけど。
『Radio Days』というのはウディ・アレンの映画でもある。解説によるとウディ・アレンの自伝的映画、世界恐慌による不景気から抜け出し始めた第二次世界大戦開戦直後のニューヨークが舞台。想像力豊かで楽しかったアメリカ、無邪気な時代の空気を表現しているとある。ウディ・アレン好きの妻に観たことがあるかと聞くと、名作だと言っていた。
探せばビデオがあるらしいが、VHSのデッキはもうないなぁ・・、でも今観たい映画。
写真は地鶏料理店「穏座ONZA」さん(滋賀県)のオーディオラック
今日はsns上に綺麗な月の写真がたくさん並ぶ、満月は明日8日でも今日の月がより大きく見えるらしい。見上げると雲一つない空に確かに明るく大きく月が輝いている。
私は夜中に目が覚めた時に窓の外が白く輝いているのに驚くことがある、何かがこちらを照らしているのかとはっとしたり、どこか電気の消し忘れが有ったか、と半分以上寝ている頭がまた白くなるが、窓の外を覗くと西に傾きかけた満月がひっそりと居る。寝室の向こうは森で、その樹々の合間から揺れて見えたりするのが何ともいい。ぼぉっと脳を起こさないように佇んでいるとどこか違う世界に行けてしまうような気もする。
音楽をかけるなら
Van Morrison/Moondance
『月の皿』/満月の場合
満ち満ちた杢目で作る。
所用で愛知県、岐阜県までを往復してきましたが、高速道路から見える各地の山々は今山桜が満開の時期を迎えその姿は美しく、世の中の状況に滅入る気持ちを少なからず晴らしてくれました。運転の最後、明石海峡大橋を渡った後に見えてくる淡路島の山々に咲く山桜も、どこよりも美しいと感じるほど辺り一面の景色を淡いピンク色に染めています。3日前の往路に見た山とは一変して短期間に一気に満開となり山桜が美しく咲き誇るその景色の移ろいを、今世の中がやはり短い時間で一気に変わりつつある状況の裏返しのようにも思え、美しいが故に桜は哀しさがつきまとう花なのか・・と。
いやいや、ポジティブに!今年のこの時期お花見はできなくなってしまいましたが、部屋の窓から見える桜、近くの道路沿いに咲く桜、身近なところに咲く桜、日本の誇れる花を今心穏やかに愛でたいものです。そして直近のこと、少し先のこと、事態が落ち着いた先のことに思いを巡らせたいと思います。
写真はわが家の若いソメイヨシノ。
スツールは知人の工場敷地内のソメイヨシノが伐られたものを材料として預かり、2年越しでちょうどこの時期に完成となりました。(#チカバノゾウキ)
「その土地にあるもの、その土地でできることが、その土地で心地よく暮らすための大きなヒントなのではないでしょうか。」今回の企画展のチラシに小さく添えられていた文章です。
チカバノゾウキと題して、ストーブの薪にするには勿体ない大きさの近所から集まった雑木を材料に、仕事と趣味の合間のようなもの作りを数年、昨年から
Jinoプロジェクトのメンバーと合流しました。今回は6人での発表会、予想以上に多くの方々に足を運んで頂きました。私は3日間の在廊でしたが多くの方々と話もでき、共感を得られるところも有ったと感じています。そして次の輪へと広がる流れもできました。
近所のどこそこで育った木からこんな身近な日用品ができる、そして一軒の建物が建ち、アート表現までできる。また何よりそこに関わった人や使う人が喜び、活き活きする。植林地から、台風での倒木、防災の観点からの山林整備、果樹園の剪定などなど、伐られる理由は様々ですが木が伐られた場所にも光が差し込み次への活力が生まれる。文章にしだすと臭くなりがちな当たり前のことなのです。しかし当たり前のことから少し距離が出来てしまった日本の各地で同時多発的にその土地に合った方法でそこに有る木材を活かす活動が進んでいます。その当たり前のことを私達も仲間になった者で話し合い進めていきたいと思います。
木工制作者としては、地球の裏側から届く木材を堂々と使っていける為にも、近場の雑木は常に当たり前に使って活かして行きたいと思うのです。
後になりましたが、会期中ご来場誠にありがとうございました。
JINO project
『立木を見上げ、木を伐り、
想像し、ものをつくり、
物語を添えて人の手に渡るのを
見届けるまでが
私たちの役割です。』
誰一人この作業を一人でこなせるメンバーはいません。しかし連携することで今後かたちのあるもの、ないものをも作り出せるのではないかと思います。淡路島の山、森、樹、木、木材、にまつわる活動です。良いだろうと考える向かう先は有れど、それが正解か、どうか、そこで今回メンバーそれぞれの表現を持ち寄り企画展を開き皆さんに観ていただき、感じたことを対話により聞ければと思っています。
22日、23日はワークショップを終日行いました、いろんな樹種、大きさの板から1枚を選んで、蜜蝋を調合したひまわり油(草地家製)を塗って板皿を作る30分も有れば仕上がる作業です。木の扱いやメンテナンスの方法を伝えようと企画したものでしたが、会場の片隅に用意した作業台では多くの皆さんが入れ替わり作業をされて、そこでは1枚の板を愛でるように仕上げていく間にその木から山や森に思いを巡らし、身近な家や庭の木のこと、木の器や出来上がった木皿に何を盛る?話、友人との昔話も、想像以上に会話の幅が広がり、素晴らしい空間と時間をみなさんと共有で来ました。
ワークショップは次回は29日(土曜日)にもう一度開催します。企画展会期は 3/5日まで。
良い空間を提供して頂いているギャラリーと今回のワークショップ講師の相棒ミッチー(林業家)にも感謝
小学生から年配の方々まで参加者の年齢に偏りがありません
南野佳英さん(美術家)作品 – Island Tree – より
椎の木皿 Jino/atelier KIKA
山桃のカッティングボード Jino/atelier KIKA
林業家、美術家、おもちゃコンサルタント、設計事務所、木工家、ギャラリー、
淡路島のいろんな分野の仲間と今想っている事を持ち寄り、企画展を行います。
初日2月22日(土曜日)11:00〜は淡路島の森に詳しい植物学者、生嶋史郎氏を交えてトークセッションを行います。また22日、23日は終日、木製品の手入れに役立つ気軽なワークショップも行っています。想いを伝える楽しい企画盛り沢山でお待ちしていますので是非会場のヒラマツグミギャラリーへお運びください。
2/22-3/5 「Voice of forest」 -Awaji-island-
森の中で
樹々に耳を澄ます
地に根を張り
天に枝葉を広げる樹々の息吹を感じる。
今展では、淡路島の森に生きている樹々を紹介し、
その樹々の背景まで見渡せるような場を作りたいと思っています。
淡路島のあちこちの森にいた頃の空気感をまとったものが並びます。
その自然のひとかけらは日常の暮らしの中で淡路島の森と呼応し、
森との距離を近づけてくれるでしょう。�
日常の中で
樹々に耳を澄ます
心の中にある
いつかの森との記憶がありありと蘇ってくる。
JINO project about..
「JINO」=「地の」
立ち木を見上げ 木を伐り 想像し ものを作り
物語を添えて人の手に渡るのを見届けるまでが私たちの役割です。
その土地にあるもの、その土地でできることが
その土地で心地よく暮らすための大きなヒントなのではないでしょうか。
JINO projectでつくったものを通してこの想いと感覚をみなさまと共有できれば幸いです。
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日程|2020.02.22(sat)~03.05(thu)
11:00-18:00(最終日16:00close)�休店日 2月25日
cafeのお休み2月25日、3月1日、5日
会期中のイベント|
◾️22(土)11:00-
・オープニングトークセッション「島の森から」
淡路島の木に携わる参加作家と淡路島の森に詳しい植物学者を交えて、島の森の木を使ってものづくりをすることを通して感じることや、思いなどをお話します。
・淡路島の木から板皿を作るWS(終日開催)
◾️ 23(日)-
・淡路島の木から板皿を作るWS(終日開催)
◾️ 29(土) 11:00-
・アーティストトーク
Secret of Sound 南野佳英展について
作品の基になったインド音楽のラーガ演奏を行い、淡路島の木でつくった音のフレーズの彫刻について紹介します。
●淡路島ひのきのえんぴつ名入れオーダー受注会
(期間中終日受付)
小学校入学のお祝いにも、ふだん使いにも、淡路市仁井のひのきの木からできた無塗装のえんぴつです。
オーダーで名前の焼印をお入れ致します。(後日お渡し) ●淡路島の木の板皿を作るWS
参加費1500円~(木のサイズや樹種によって異なる)
カッティングボードや敷板など様々な使い方ができる板皿を作ります。大きさや樹種さまざまなものを用意しますので、お好きなものを選んでオイルを塗って、磨いて仕上げていただきます。お手入れの方法もお伝えします。ご家庭でのお手入れに使うためのお土産のオイル付き(淡路島のひまわりオイルと蜜蝋)
●淡路島の木屑でサシェをつくるWS
今回の作品制作のために出た木屑を、リネンの小さな袋に詰めて天然の芳香剤、防虫剤が作れます。お好きな香りをお好きなだけ詰めていただきます。
●淡路島の木からできたプロダクト(生活道具)の販売
●淡路島の材の販売�●淡路島の家のスライド上映
�場所|HIRAMATSUGUMI (ヒラマツグミ)
参加作家|
atelier KIKA 北島 庸行(木工家)
南野 佳英(美術家)
ちひろ工房 浜田 篤(木工家)
hikobae works 新庄 道(林業家)
トイフラワー号 松本 恵里奈(おもちゃコンサルタント)
ヒラマツグミ一級建築士事務所
ご自宅にボルダリング の壁面、そして壁を登るためのホールドも木製で作る、と言うご依頼でした。何度か専用の施設を訪ねてホールドにはいくつかの種類分け(ガバ・スローパー・ピンチ・ラップ・など)が有ることや逆にその造形にはこうでなくてはいけないという決まりはない事を知り制作をスタート、これはなかなか集中してのめり込めるものでした。途中からは同じ形を作らないという作り手の決め事もして一先ずホールドを50個、小さなものから中、大、特大、各種用意しました。競技用のものは絶対的な安全性から樹脂製となっているのだと考えますが、木製のホールドも形状や作りを考慮すれば安全なもので、自宅壁面に取り付けたいという場合は、木の表情が登らずとも楽しめて良いものです。
今回は依頼者のご家族三世代の皆様に楽しんで頂けそうで、特に子供さん達には人気の壁面となったようです。
楽しく、健康にも良く、もう少し小規模でもこれは広まると良いですね、自宅ボルダリング !
何度も壁を登りながらホールドの取り付け。(セッター役もしました)
小学生の子供さん達はお見事!
壁面パネルも既成のものではなく、木目が上に伸びるように4mのオーク突板を18mm合板に貼り部屋に合うオリジナル、ボルダリング 用パネルを制作。(3×6尺板を8枚分)
今回の樹種はクリ材、サクラ材、ウォールナット材、壁面に落ち着きを持たすため、樹種は3種類に留めました。形は一つ一つ違うことが登る時の楽しみにもなります。
工房内のいろんな道具を駆使してホールドを作ります。
「これからの夫婦二人の食事を、ゆっくりと楽しみたい。」そんな文章で始まる、制作のご依頼に応えて一対の木の皿を作りました。ご夫婦それぞれの好み、人物のタイプのようなこと、木の色の明るさ、などが明快に書かれてあったので制作はあまり迷うことなく進みました。そして形は後に飽きがこないようにシンプルなものにしましたが、少し厚みを持たせて木の質感を時折感じていただけたらと意図しています。
私も先に試作で作った皿で朝食を食べていますが、普通の食パンも心成しか高級な味がして、ちょっとした楽しみを教えていただいた気がします。
ちょうどこれくらいの大きさ(φ 22cm)が取れる板が乾いているはず、淡路島の木/近場の雑木で日常のものを作りたいと言う欲求にも繋がり更に楽しみも増えました。