6月2日から14日まで開催される一脚展に今回初参加します。会場の竹中大工道具館1Fのホールは緑に囲まれた開放感あふれる空間、晴れた日も雨の日もとても気持ちよく快適な時間を過ごせると思います。どうぞ皆様「椅子」に座りに神戸へお越し下さい。
2015年がスタートしました。新年初めは神戸と静岡へ帰省して昨日4日は帰路途中、京都へ立ち寄って去年関わらせて頂いた
「cenci」(チェンチ)さんへ初期メンテナンスの打合せに伺いました。オープンからちょうど一ヶ月ですが昔からそこにあった様なノスタルジーと既に風格すら感じる、暖かくとても良い雰囲気になっていました。もう一軒やはり河原町三条に3月オープンする料理店「Obase」さんの椅子の打合せもすませて戻りました。こちらもとても楽しみです。年始はゆっくりと上げて行きたいところですが、工房では昨年末からの制作の続きから掛り、明日6日と7日は淡路島内ですがやはりメンテの出張に出て慌ただしく’15年が始まります。そう、京都ではわずかな時間学生時代の旧友にも会えて、彼は昨年初マラソンにトライして3時間台の好タイムを出し体力の復活に自信を見せていました、私は長距離運転の後で身体がパキパキ(?)言っている時に話をしたので大いに刺激になり、マラソンする宣言はしませんが気力体力とも上向きになる一年にしたいと思います。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。
人は歳を重ねるほど月日が経つのを早いと感じるのは生物学的にも正しいことのようですが、それにしても・・・。ここ数年は大晦日の半日で諸々の整理や新年を迎える準備をするのがお決まりになっています。それでは十分に一年がしまらない感は否めないものの無理に一年を納めてしまうよりも継続が大事と、上手く自分をごまかして来る新年に向かいます。今少しだけ一年を振り返っても多く方々との出会いがあり、十分に出来たと思うことあり、納得いかずのままのこともあり、それを更にいい関係、いい形へと繋げて行きたいと思います。「継続は力なり」と。今年も皆様本当にありがとうございました。どうぞ良い年をお迎え下さい。
「工房とアトリエ、どう違うのですか?」今月から私のところへ作業を手伝いに来ているT君が聞くので「どう感じる?」と返したら「自分は同じだと感じる」と。アトリエ(atelier)はフランス語なので少し違った空気感の空間を想わすところが気に入って私は使い始めたが、「工房」がその訳であっていいと思う。英語だとスタジオ(studio)となってWikipediaでは「芸術家などの作業場」と意味が出ている。芸術家である自覚は全くないものの、KIKAの作業場は木工工場(こうじょう)または家具工場(こうじょう)では無く、やはり工房(アトリエ)と言っていい内容の仕事を続けていたいと思っている。さて、今回の写真は2003年に東京近代美術館工芸館で行われた「現代の木工家具」展の図録の表紙だが、この展覧会は独立した工房を持って間もない時期に観た私にとっては大変印象深いものだった。格式ある美術館の中で諸先輩方がどのような仕事をして来たのかを一堂に観る事が出来て、先の工房運営の指針が持てるきっかけになった様に記憶している。この図録の中にあるキュレーター・諸山正則さんの文章を一部抜粋させて頂く、『家具を専門として選択した木工家らは、1970-80年代頃から次々と自らの工房をかまえ、独自の自由な創作を表明して個性的な活動を繰り広げてきた。それは単なる注文に随従した制作ではなく、伝統木工を基調とする制作や造形上の創造性やデザイン性を高めた制作において、明快な家具としてのメッセージを示しつつ固有のアイデンティティとオリジナリティを獲得している。すなわち、そうした彼らは、早川謙之輔を先駆として、現代に家具という造形表現の分野を開拓し、将来にその造形の広がる可能性を大いに見出してきた。』それ以前の事も書かれている文章の一部でしかないが、この文章を読むと我々が仕事をしている分野もしっかりとした道が既に敷かれていて、更にこの先を開拓しながら進んで行くのは我々、また次の、次の次の若い世代なのだと感じた。
そして唐突なようですが、タイトルに( )付きで書いたのは奈良県の下市町に10月からスタートする木工工房の事。兵庫県三木市の徳永家具工房と奈良県、下市町が連携してその下市町に新しい工房を開設します。三木市で工房を運営する徳永順男氏は’03年の工芸館へ出展された中の一人ですが、ここ数年交流をさせて頂き、話をする中で「木工工房」のあり方を変えていこう(進化させよう)というところで共感するところが多々あります。そこでその奈良工房の企画運営にアトリエKIKAの北島も参加し携わります。材木の事、刃物の事、作る物のデザインの事、大切なテーマは数多くありますが、奈良工房は複数人数の職人が高い技術を持って制作に携わる事を目指す事が一つ大きな特徴になるはずです。個の力と組織力(サッカーワールドカップでは散々その必要性を見せつけられました、余談です)、が上手く組み合わされば良い『工房』の形が一つ見え始めるはずです。この工房の説明は不十分ですが追ってテーマ事に記事を書きたいと考えます。
大切なお知らせとして、その工房での研修生第一期生を8月から募集します。アトリエKIKAからも順次告知をしますが、当面詳しい内容については
徳永家具工房のfacebookページをご覧下さい。
阪神間を拠点に活動をする五人の建築設計士が立ち上げた
『くらしのすまい』=暮住(くらすま)の相談室・ギャラリーが兵庫県尼崎市の「つかしん」で始動しはじめたので昨日はそのオープンセレモニーに参加して来ました。以前から知合いであったその中の一人の設計士(庄司洋建築設計事務所)から一、二年に渡りこの活動の話は聞いており、時折少しずつやり取りを繰り返す中でその主旨を理解しアトリエKIKAはその
賛同協力メンバーとして参加しています。「今後どのような活動をするのでしょうか?」、「・・・・」、五人が集まった主旨はHPでも明記されている通りですが、実際の活動としては一つずつ具体例を積み重ねて行く中で良い方法を選択しながら「暮住」のかたちを作り上げて行く、という事になりそうです。個人または一事務所だけでは実現しにくい事が複数人数で知恵を出し合う事で形になる、また家づくり、物づくり、の現場を知ってもらう為の発信力も孤軍奮闘するだけよりも遥かに増すはずです。庄司氏とのやり取りの中で話した一つに、どんな物が出来上がるかその結果はもちろん大切ですが、それが出来上がるプロセスに興味がある。どんな人が、どんな思いで、どう考え、どんな風に、どうやって作っているか、そこを知っていると人は自ずとその家や物に愛情を持てるし、結果それが長く使われる事につながる、と。そうした活動の姿勢がうまく表現出来れば良い結果、良い実例が生み出せるのではないかと思います。
前回このページで紹介したTABLE1600・1800同様、今回紹介するものも一定のデザインで繰り返し作っているのでKIKAの定番と言ってもよいテーブルです。ただしこのテーブルの場合は材種、大きさ、天板の外周形状、ハギ枚数や厚み、脚の太さ等々は固定せずその時の依頼に合った一点を作る事を心掛けています。ですから脚を組む構造や全体の印象は変わらないものの、今まで各お宅に納めたもの何れもが結果として同じ寸法のものがありません。脚の太さや縦横の比率は一発勝負で線を決め削ってしまうのはやはり怖いので、3枚目の写真の様に毎回(同じようだけれど)違う原寸図を描いて確認してから制作に掛ります。今回の依頼は食卓として使うけれど、またそこで木版画も彫り刷る、パン作りもする、天板は作業台のように厚めがいい、またH寸法も高めという事が条件としてあったので在庫の中から45mm厚のブラックチェリー材を選び天板は2枚ハギにし、脚は太めで高く線を引き直し制作したものです。工房家具というカテゴリーが有るならこういう事が可能な事も一つの特徴になるのかも知れません。
L.1500×W.935×H.750
「小股の切れ上がった・・」と言うのは脚がすらりと長く、又きりりとしていて小粋な女性を形容するときに主に使われるようですが、ずいぶん以前の雑誌にマツダのコスモスポーツ(1967〜’72/帰ってきたウルトラマンでMATが乗っていた車ですね、ある年代以上の人にしか分からないかも知れませんが。)について「小股の切れ上がったスタイルの車」と言うような文章が載っていました、何処が?とも言えなくないですが、私はなるほど分かる気がするいい表現だと思った記憶があります。スマートに絞り込んだフォルムは直線、曲線の配分が絶妙でまさに粋な車でしたから。この表現は物を擬人化してその姿をある雰囲気をもった格好良さをもつものとして言い現す事ができるのでしょう。さてテーブルや椅子もまた人や車と同じように脚をもっているのだから、小股の切れ上がった・・と言う立ち姿を目指してみてもいいのかもしれないと(頭の片隅に)思い設計図を描き、制作をしているのが写真のテーブルです。今回は1600モデル、脚部の寸法は1800モデルと共用なので天板の長さ−200、幅−50となり脚がより上の方まで見えます。
写真のテーブルは納品先が決まった物ですので展示はしていませんがご希望の方には見て頂く事ができます。(2月初旬まで)
TABLE 1600(受注制作)
ナラ材/1600×850×700(720)
¥280,000(税別)
2014年は例年より一日早く1月4日から始動しています。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。
今年一年テーマにしたのは『削』。鉋を使って上手く削りたい、意のままに削りたい、綺麗に削りたい、昨年から今年の初めに掛けて正にそう思ったからで、迷うこと無く年頭に課題として掲げたのです。木工制作者として削りの習得は今更ではありますが、又いつまでも探求するべき基本的技術なのだと考えるのです。木を造形する上でそこに重きを置かない方法も勿論有ります。それぞれの者の考えで家具や木工品を仕上げる方法は千差万別ですが、私が今イメージする木工は、頭の中に描いた物を刃物を持つ手が自由自在に動いて楽しく削り仕上げる様です。「楽しく」は誤解を生む言葉かも知れませんが、作り手がストレスの無い生き生きとした作業を進めている姿をイメージして下さい。そこから生まれる物は伸びやかで美しいはずです。又刃物で削り仕上げた物は文字通り切れが有りよどみも無いはず。2014年も『削』はまだまだ脇にやれる課題ではないですが、自分に足りない事、更に磨きを掛けたい事をテーマに持って前に進みたいと思います。今年も皆様本当にありがとうございました。良い年をお迎え下さい。
淡路島はオリーブの生育には適した気候の様で約10年前庭に植えた苗木は随分大きく背の高い木になりました。ところがオリーブの葉を好んで食べ、幹に穴を空けその中も食べるオリーブアナアキゾウムシという虫がいてこの大敵に幹を食われるとダメージが大きい場合、木は枯れてしまいます。庭にはかつて数本の木が有ったので実もたわわに生りましたがこのゾウムシに食われた木は枯れてしまい今オリーブの木は一番勢いのいい木が一本残るのみとなってしまいました。一本では実がならないことも残念です。枯れた幹、枝は決まった目的も無く数年軒下でじゃまに成りながらも放置していましたが、よく乾いた枝を削ってみるとなかなか良い色艶です。そこで今日は数本、今日は一本と夜な夜なナイフやスプーンを削ってみると枝なりの形に誘われる作業が快適でのめり込みます。枝の太さの範囲のもので、曲がっていればそれなりに、枝を使い切って無くなれば終わりです。@¥1,260〜/くるみオイル仕上
写真の収納棚と小テーブルは依頼者の使い道がはっきりしていてそこから寸法や形状が生まれてきた物です。形状(スタイル)は制作する私の癖が当然出てくるものですが、必然の条件も有って用途のはっきりした物は部屋に納まった時にしっくりときます。既にウォールナットのテーブルや椅子を使って頂いている部屋に追加しましたが昔から何れもがそこに置かれてあるように空間に馴染みました。
9月30日、季節は秋とは言え少し動けばまだ汗の出る気温でしたが、空には程々に気持ちのいい秋の雲が浮かび光を遮ったりまた覗かせたりと撮影日和の一日。今年制作した「大きな椅子」のプロモーション写真を知人達の協力で撮りました。制作コンセプトを明確に伝えられる印刷物にして改めてお見合いを申し込みます。
@TOTOシーウィンド淡路