イギリスのアンティークの中に見つけた折り畳み式のブックエンドに心惹かれることがありました。読書好きで旅好きの国の人が必要を感じて、しかも楽しんで作った物なのだろうと思うといろいろな想像が膨らんできます。そこで折り畳み式である基本の形を活かし、私も楽しんで数点作ってみました。こんなアイテムと本を数冊バックのポケットに滑り込ませて出発する旅はどんなものでしょうか。近頃私は作業中に聞くラジオはFM COCOROがお気に入りなのですが、昨春からOver 45の為のミュージックステーションと言うはっきりしたコンセプトで番組が構成されていて、我々世代の琴線に触れる曲が多くかかり、話題も親近感を持てます。その自局CMが私は好きで、 その中では19Cに55歳で江戸を旅立ち日本中の危険な海岸線を旅して正確な地図を作った伊能忠敬のこと、17Cに世界初のバックパッカーと言われるイタリアのJ・F ・ジェメリ・カレリが40代から世界中を旅して北京では皇帝に謁見したりメキシコの遺跡ティオティワカンを訪れたりした話が紹介されていますが、旅の大きな目的よりもその途中吹き抜ける潮風が心地よかったり、星空が綺麗だったりで、「偉そうな事言ってたようだけどただ旅に出たかっただけなんじゃないかなあ、」と最後にDJが気の抜けた呟きをしているのがいい。彼らが本を携えて出発したかは分かりませんが、そんなラジオを聞きながら、旅のお供にしても日々のベッドサイドにこれから読む本を数冊並べても良いと思い、大人のアイテムを一つ作りました。旅も読書も無限の発見と出会いがあるはず、私も枕元の本を読みながら南米大陸か20代で訪れたヨーロッパの国々なのか、世界一周?人生後半の旅に思いを馳せてみることにします。(旅のブックエンド|¥12.600 在庫4点)
「盆」、「a tea trey」、「das tablett」(独)、また韓国にもブラジルにもインドにもこの一枚の板の上に皿や器を載せて運ぶための道具があり日常の生活に使われているはずです。両方の手にコップを一つずつ持って運ぶより3つ、4つ盆に載せて同時に運ぶ方が合理的な事は間違ないですし、もてなしの姿勢や文化度が少し増す事も間違いありません。我々は建築現場で仕事をする機会も少なくありませんが休憩時間に大工さん他その現場に携わる職人達が野地板やコンパネの切れ端を盆にして缶コーヒーを並べている光景を度々目にします。地面の上に直接置かれた缶コーヒーを飲むより美味しい?はずですし、新築の床を水滴で汚す事も有りません。私はこの一枚の板が有れば出来る「盆」は木を材料にした道具としてとても好きな物の一つ。たかが板されど板、というところが有り工夫次第で形のバリエーションは限りなく、同じ形を作っても樹種や木目の違いで印象はまったく異なります。 在庫を少しずつ増やしています、どうぞ手に取ってご覧下さい。
以前のatelierKIKAをご存知の方は、おやっとお思いかも知れません。そうです壁や床の色が変わり、新しい棚も設えました。前回ご紹介したテーブル同様のコンセプトでブラックウォールナットの辺材(原木の表皮に近い白太又はそれを含む部分から得られる木材)で作っています。前面を整える程の板の幅が無いので表皮の表情をそのままに、成るべくして成るフォルムを残しています。これは分かり易い一例ですが、木工の場合人為の及ばない材料の都合というものが随所に出てくるものです。それを上手く使う創意工夫がひとつの重要な点で、その制作者の特徴に成る部分なのだと考えます。 少しずつ「模様替え」進行中です。この棚の上に置かれるものにも乞うご期待下さい。
atelierKIKAの応接テーブルを新調しました。あくまでも自家用なので上等の材を使ってはいませんが、それでもブラックウォールナットで2m50cmの大テーブルが出来ました。白太も思い切って使い、通常は切り落としてしまう割れも繕って使って、細い脚には構造を増やして補う。部材も、考え方も「タイト/ tight」にと思って作る事にしました。私が’97に個人での制作の仕事を始めて以来のそれ程長くない期間でも、特に近年は一般に良い木材と言われる木が年々入手し難くなっています。理由は見方によって幾通りか有りますが、結果として市場に多く無い(出ない)ので我々の手元に届きにくいのです。今回は自家用で、ならば有る木を有効に大切に使うという習作も兼ねてみました。皆様、次回お立ち寄り頂いた際にはこちらのテーブルへご案内致します。
制作物の写真を中心に順次アップしていきます。どうぞ宜しくお願い致します。