木工 北島庸行|kitajimanobuyuki.com
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DIARY
塗装・無塗装
2011-10-27
栗材のテーブルができた。制作工程の途中でも「ひとまずできた。」と思えるのは塗装の工程を残すのみとなった時。木取りから始まり、削り、組み立て、塗装の為の生地調整と進み、さてと全体を眺める。全体のバランスはこれで良かったか、ディティールに不備はないか等の確認もあるが、調整しながら進めてきているのでここで大きく手を加える事は無い。この「眺める」で無塗装の木の表情を束の間愉しみたいと思い、記憶しておきたいとも思っている。次の工程で塗装を施してしまうとこの状態へは二度と戻す事はできない。家具店に並ぶ量産品も我々が作るオーダーメードの物も大半は何らかの塗装が施されてありユーザーがこの無塗装の状態の製品を目にする機会はあまり無いはずだが、木の生き生きとして艶やかな表情に被いがされていない状態で形は完成しているのだから、ともすると一番いい状態で綺麗だといつも思う。ではなぜ塗装をするのかと言うと第一に表面の保護剤でありまた表情に深みを出す化粧ともなるからだろう。今回のテーブルもこのまま使い始めるとそれは気持ちがいいはずだが、一ヶ月もすれば手垢、染みが付いて、日差しが差し込む明るい部屋であれば色も少し付き始めるだろう。スッピンで美しい女性も毎日そのままでは日焼けも気になるしシミが出来てしまっては取り返しがつかない、そして更に美しくなりたい・・・と似ているかもしれない。 それでも思い切ってダイレクトな木の経年変化を味わいたいという方には、樹種や作る物の種類にもよるけれど稀に無塗装の製品を提供して使って頂いている。これはオーナーの努力も必要だが深い味わいが出てきている。 塗装もまた大切な工程なのでその種類や特徴等についてはまた何かの機会に紹介したいと思う。
< 教会の長椅子 / pew
2012 始動 >