DIARY

教会の長椅子 / pew

2011-10-16

教会に長椅子を納めた。背もたれの後ろに聖書台があるのが一般的な椅子とは異なる特徴で、今回長さは各2m10cm。 この教会の信徒さんが工房を訪ねてくれたのがこの仕事の始まりとなった。打合せ、納入場所の確認に何度か伺ったが、日曜日だと子供さんからご老人まで老若男女が日曜礼拝に集う、牧師さんが女性という事もあってか柔らかな雰囲気の教会だった。私はクリスチャンではないが教会の建物の中にしばらくいると気持ちが少し落ち着くような気がする。旅先などで大聖堂の圧倒的な空間を訪ねても、また片田舎で小さな寺院に足を踏み入れてもその気持ちは似ている。ある本に依るとそれは日本人の独特の宗教感覚に由来すると言っている。多くの日本人は「無宗教」を自称しながら神社やお寺、教会あるいはモスクでしばらくゆっくりと座っていると敬虔な、心が洗われるような気持ちになるはずで、それはある宗教以外は認めないという排他的な思いを持たず、広く神仏を信じる気持ちを強く持っているからだと言う。私はその気持ちの由来は日本の気候風土に依るところが大きいと感じる。今年のような大災害に見舞われると人間の無力さを強く感じてしまう機会となる、神に祈り、仏を拝みたくなる気持ちは自然に生じるものだ。                  先日作業中に訪ねてくれたアメリカ人の友人が教会の長椅子(信徒席)の事を英語では特別にpew(ピュー)と言うんだと教えてくれた。この椅子にも長い年月をかけて人々の祈りが染み込んでいくのだろう。

 

淡路キリスト教会 / 淡路市岩屋